伊賀国上野赤坂町(三重県伊賀市<旧上野市>上野赤坂町)生まれ。
1644(寛永21)年-1694(元禄7年10月12日) 50歳
江戸時代前期の俳諧師。
蕉風と呼ばれる芸術性の高い句風を確立し、俳聖と呼ばれる。
松永貞徳とともに『俳諧二祖』。また『江戸の三大俳人』のひとり。
幼名は金作。名は宗房。芭蕉は俳号。
若くして、伊賀国上野の侍大将・藤堂良清の嗣子・良忠に仕え、2歳年上の良忠とともに北村季吟に師事して俳諧の道に入った。1666年に良忠が歿するとともに仕官を退く。
29歳の時に江戸に下り、日本橋の鯉屋仙風宅に身を寄せた。
江戸での生活は苦しく、門人の松村市兵衛(普請方役人)の世話で小石川の水道工事事務(帳面付)をしたり、俳人高野幽山の句文の清書などで生活を支えた。
苦境の中でも俳匠としての努力を怠ることはなく、当時随一の北村季吟に認められ「埋木」の相伝秘伝を伝授された。これは宗匠の免許認定書を得たことである。
37歳の時、当時辺鄙な地であった深川に庵を結ぶが翌々年(天和2年)に草庵は江戸大火のため類焼、門人で秋元藩家老高山伝衛門を頼り、甲斐の国に約半年間滞在する。芭蕉の号はこの年に初めて用いたという。
翌年、江戸に帰り、一時船場町に仮住まいしたが、門人達52名の勧進で旧庵近くに第二次芭蕉庵が新築された。芭蕉40歳の頃だという。
41歳、母の一周忌の墓参を兼ね、東海道から伊勢、郷里伊賀上野を経て関西方面を廻った旅を『野ざらし紀行(甲子吟行)』と題し纏める。
その後44歳では『鹿島紀行』『笈の小文』、45歳に『更科紀行』、45歳で『奥の細道』と旅を続ける。『奥の細道』紀行を終えた後の元禄5年5月、深川の杉風所有地に新しい庵を結ぶ(第三次芭蕉庵)。
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『奥の細道』冒頭
「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらへて老をむかふる物は、日々旅にして旅を�柱(すみか)とす。」
(月日は永遠にとどまることのない旅客のようなものであり、過ぎてはまた来る毎年毎年も旅人のようなものである。船頭のように舟の上で一生の大半を過ごすものや、馬子のように轡を取って老年を迎えるものは、毎日の生活が旅であり、旅を住みかにしているのだ。)
『奥の細道』
元禄2年(1689)年3月、江戸深川の芭蕉庵を出発。河合曾良とともに白河、松島、平泉、尾花沢、越後、金沢、福井、敦賀を経て大垣から舟で伊勢に立つまでの紀行。西行や能因の歌枕を訪ね、古人の思いを追体験し、風雅の伝統に連なろうとした。
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47歳の時、近江の国石山の幻住庵に入り『幻住庵の記』を著す。翌年には京都嵯峨にある去来の別荘に滞在し、その時の日記が『嵯峨日記』である。
51歳を迎えた5月、九州を目指して旅に出るが、大阪で病に罹り10月12日申の刻(午後4時頃)、花屋仁左衛門方でその生涯を閉じた。
遺言により、遺骨は近江粟津の湖畔にある義仲寺に葬られる。
「古池や蛙飛込む水の音」、「荒海や佐渡に横たふ天の河」、「夏草や兵どもが夢のあと」などの句が有名である。
松尾芭蕉の弟子の中で、特に優れた高弟10人を指して、『蕉門十哲』とされる。
宝井其角(たからい きかく)
寛文元年(1661年) – 宝永4年(1707年)
蕉門第一の高弟。江戸座を開く。服部嵐雪(はっとり らんせつ)
承応3年(1654年) – 宝永4年(1707年)
其角とならんで蕉門の双璧をなす。森川許六(もりかわ きょりく)
明暦2年(1656年) – 正徳5年(1715年)
晩年になって入門。画の名人で芭蕉に画を教える。向井去来(むかい きょらい)
慶安4年(1651年) – 宝永元年(1704年)
京都嵯峨野に別荘「落柿舎」を所有。芭蕉より野沢凡兆とともに「猿蓑」の編者に抜擢される。各務支考(かがみ しこう)
寛文5年(1665年) – 享保16年(1731年)内藤丈草(ないとう じょうそう)
寛文2年(1662年) – 宝永元年(1704年)杉山杉風(すぎやま さんぷう)
正保4年(1647年) – 享保17年(1732年)
蕉門の代表的人物で芭蕉の経済的支援者。立花北枝(たちばな ほくし)
生年不詳 – 享保3年(1718年)
「奥の細道」の道中の芭蕉と出会い入門。志太野坡(しだ やば)
寛文2年(1662年) – 元文5年(1740年)
芭蕉の遺書を代筆。越知越人(おち えつじん)
明暦2年(1656年) – 没年不詳
尾張蕉門の門人。「更科紀行」の旅に同行。
松尾芭蕉生誕地(伊賀市上野赤坂町304)
釣月軒(伊賀市上野赤坂町304)
故郷塚(伊賀市上野農人町354)
蓑虫庵(伊賀市上野西日南町1820)
芭蕉翁記念館(伊賀市上野丸之内117-13)
俳聖殿・上野公園内(伊賀市上野丸之内117-4)
松尾芭蕉像(近鉄上野市駅前広場)
芭蕉記念館(東京都江東区常盤1-6-3)
芭蕉稲荷(東京都江東区常盤1-3-12)
奥の細道むすびの地(岐阜県大垣市船町2)
奥の細道むすびの地記念館(大垣市馬場町124)
松尾芭蕉終焉地(大阪市中央区久太郎町4丁目付近)
松尾芭蕉墓所(滋賀県大津市馬場1-5-12)
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